電子カルテ連動のメリット・デメリット

レセコン連動できなくても全然問題ない【後篇】|受付処理時、その予約をどの予約に引き当てるの?(考察)

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診療予約システムは電子カルテと連携したほうがいい?(掲載予告)で予告させていただいた件について、
昨日に引き続き、今度は受付処理をしたときのデータ連携について考察します。


 

期待:医事コンピュータ(レセコンや電子カルテ)と予約システムが連動すれば、一方のシステムで来院処理をすると、もう一方のシステムで自動的に受付処理が走り操作手順が少なくて済むのでは?

結論:これまで、紙の予約表がレセコンと連動していなかったことで困ったことがありますでしょうか?・・・ありませんよね?実はこれが答えです。中途半端に連携させるくらいなら、連携させないほうがすっきりしていて良い。その理由について、以下①~③の連携パターン毎に考察します。①レセコン←→予約システム双方向 ②レセコン→予約システム一方通行 ③レセコン←予約システム一方通行

来院受付の流れは?:患者が来院したときの現実のオペレーションはこうです。患者が来院→予約システムの画面をチェックして予約の事実を確認→せっかく予約表で患者データを目の前にしているのだから「来院」ボタンを押す(流れで押したくなる)→来院受付処理完了。紙の予約表と同じで、これがごく自然な操作の流れです。

では、この流れに沿って上記①②③の各パターン別に考察(123)していきます。

考慮しなければならない要素:(A)予約なしの飛込み患者(や新患)が来院したときの処理、(B)同じ日に複数予約のある患者が来院したときの処理、(C)2診以上のクリニックでドクター名で予約を取らず、診療科目名で予約を取るような運用をしているクリニックの場合

考察1:①のとき、レセコンと診療予約システムは双方向連動していますので、一方で受付処理をすれば、もう一方も受付処理が自動的に完了し、とても便利です。但し、受付処理を引き当てるデータが1対1の時に限られます。では、1対1ではない場合があるとすればそれはどういう時でしょうか?

上記(A)のとき、予約システムにデータエントリーせずレセコン側で直接受付処理をしてしまったとき。上記(B)のとき、レセコン側で受付処理すると、予約システム側のどの予約データに受付処理を引き当てすればいいかシステムは判断できない。上記(B)のとき、予約システム側で受付処理すると、各予約毎に来院受付処理がレセコン側で走ってしまう。それでOKの場合は良いが、NGの時はレセコン側で受付データ削除をするが、そのとき予約システムと連動関係にあると受付処理キャンセルになってしまうという堂々巡りに陥る。上記(C)のとき、レセコン側の概念と予約システム側の概念が全く異なる設定で運用しているため引き当て不能。といった具合です。

考察2:②のとき、レセコンから予約システムへの一方通行連動となりますので、受付処理はレセコン側ですることになります。このとき(A)のとき、予約データが無いため引き当て先が存在しません。引き当てするためには、先に予約表にデータエントリーしてからレセコンで受付処理をするという流れで処理します。これは、これでいいと思います。受付の手順が一本化されますので。(B)(C)のときは考察1のときとまったく同じ問題が生じます。

考察3:③のとき、予約システムからレセコンへの一方通行連動となりますので、受付処理は予約システム側ですることになります。このとき(A)のとき、予約システムにデータエントリーして受付処理を実施するとレセコンにデータが上がってきます。(B)のとき、各予約データ毎に受付処理が発生し、その件数分の受付データがレセコンにも上がってきてしまいます。不要な受付データはレセコン側で削除して対応しますが、本当に削除OKなのか?あるいは複数行存在していてOKなのかの判断が求められます。(C)のときは考察1と全く同じ問題が生じます。

結論:はい、ここまで読んでいただきありがとうございます。これまで述べさせていただいたことを一言で言うなら、「中途半端な連携なら連携しないほうがいい」ということです。

受付処理というものは「来院したから、受付のチェックを付ける。。という、極めてシンプルなもの」であるのにも関わらず、IT化してしまったばっかりに「この場合はああする」「あの場合はこうする」というふうな、かえって判りにくい事態になってしまうのです。※上記(A)(B)(C)の要素のとおりであれば、はじめから「連携させずに、それぞれ単体運用」すればいい。これまで、紙の予約表がレセコンと連動していなかったことで困ったことがありますでしょうか? ありませんよね。

唯一(と断言してもいい)、連携すべきものは、診療予約システムを導入し、運用を開始する前に、既存患者の頭書きデータのみ予約システムへインポートしてあげればいいのです。そしてそれ以降来院する新患データは、前回のエントリーで解説させていただいた通り、手入力で十分なのです。

最後に、前回のエントリーと今回を総括して以下の問いかけをさせていただき締めくくりたいと思います。

・1日に来院する新患は何名ですか?その入力作業は苦になるレベルでしょうか?/それは、予約システムとレセコンの双方向完全連動が抱えるセキュリティーリスクを負ってでもすべきことでしょうか?/連携させた結果、本当に便利に運用できるのでしょうか?/むしろ不便と思われることの方が多くありませんか?

 

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