診療予約システムの基本

診療予約システム導入に潜む 思わぬ抵抗?

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診療予約システムの導入を検討するとき、診療予約システムを 「医療に関わるすべての人の為」 ではなく 「患者さんの為」 ととらえ、このことが原因で診療予約システムの導入を断念したクリニックは少なくありません。
まず大前提ですが、少なくとも患者さんは「医療=予約で成り立っている」と認識していることを忘れてはなりません。それが「当日の受付順番制」だとしても、です。患者さんは「10番目」という案内を受け取った時点で10番目を予約したと認識します。そして、いまか、いまか? と自分の順番が訪れるの待ちます。このとき、あとどれくらい待てば自分の順番かが判らないと、、、そのうち痺れを切らしてくるというのが人情です。

一方、「時間予約制」のクリニックでは、24時間予約の受付が可能です。いつでもどこでも予約できる状況を提供します。患者さんは診療時間中を狙って電話する必要が無くなりますし、電話が繋がりにくい時間帯のストレスからも解放され、予約なしの飛込み来院件数を減らす効果も期待できます。

以上のような感情や、アナログ運用時に生じる問題に対処するために診療予約システムの導入を検討し、様々なソフトウエアを比較検討しているときに 「患者さんの為」 、、、、という考えを持つお医者さんが多いのですが、これは間違いです。(少し挑戦的な書き方ですみません)

なぜなら、その前提で検討を進めていると思わぬ 「抵抗?」 に導入計画を阻まれてしまうことがあるからです。それは意外にも、医事課の事務スタッフさん達で、その理由は様々ですが 「仕事が増えるのではないか?」「新しいことを覚えたくない」「運用を変えることが面倒くさい」「現状で困っていない、なぜ導入するのか理解できない」「ネットキャンセルが増える懸念」 といった具合で、一見後ろ向きな意見のようにみえ、「反対」しているように医師は受け取ってしまいますが、、、そうではありません!

(追記:2013/04/25)
医事課の事務スタッフさんの立場になって考えてみればその気持ちは良くわかります。彼らは毎日多くの患者さんを相手に、受付、会計、予約の対応、問い合わせやクレームへの対応、医師や看護師からの指示、、これらを同時並行的に驚くべきスピードとバランス感覚で捌きまくっています。カルテやメモ用紙、クリップや鉛筆のレイアウトあらゆるモノの置き場所や利用方法が整然とルール化されており、そこで培われた組織の調和のようなものが確かに存在しています。事務スタッフさんは予約システムの導入でその調和が崩れてしまうことで、かえって業務効率が下がり、そのしわ寄せが患者さんに行ってしまうことを心配してるのであって、決して後ろ向きな理由で導入に反対しているというわけではないのでです。(追記ここまで)

すると院長は、説得フェーズに移行するわけですが、上記追記のような事情を知りませんし、普段からあまりコミュニケーションが取れていない関係性の場合、突っ込んだ議論ができません。さらに、院長は医事課業務について深いところまでタッチしていない門外漢でもあるため、診療予約システムの導入メリットについて、スタッフ目線で説明することができません。

結果、双方分かり合えぬまま、現場の意見に押し切られる形であえなく「断念」という結末に至ります。

 

大切なのは 「医療に関わるすべての人の為」 という視点

「患者の為」 確かにこれは正解で、導入目的の一部です。

 でもそれだけではなく、「医療に関わる全ての人の為」という共通認識を持つことが大切です。

では、スタッフさんの疑問に答えていきます。

「仕事が増えるのではないか?」 いいえ増えません。手書きしていた予約・受付表がデジタルに置き換わるだけで作業量は相殺され増えません。逆に、電話応対の件数は半減します。
「現状で困っていない、なぜ導入するのか理解できない」 待合室の混雑緩和により、院内感染リスクが軽減し、座る場所が足りないといった実害を回避することができます。患者さんの為にもなりますし、待合室の人が減るとことで、スタッフの対面フォローの量が半減します。
「新しいことを覚えたくない」 上記メリットが得られるなら、覚える価値はありそうですよね?そして、操作がとても簡単ならどうですか?
「運用を変えることが面倒くさい」 導入メリットがあるのに、それを拒否する理由はありませんよね。患者さんがハッピーになればスタッフさんだって嬉しいはず。さらには、導入することで業務が軽減されるのですから。
「ネットキャンセルが増える懸念」 いいえ増えません。むしろ逆で稼働率が上がります。理由は実に明快で「キャンセルする患者はシステムの有無に関わらず何があってもキャンセルする」ので防ぐことができないからです。むしろ、ねっとキャンセルという手段を提供することで、その枠が空きます。空いた枠に別の方が入ることでロスなく稼働することができるのです。さらに、診療予約システムを導入することで、患者さんとのコミュニケーションの接点が増え、お知らせメールやサイトを通じて「キャンセルポリシー」を啓蒙する機会も増えます。

以上を相互に理解できれば、受付スタッフさんの懸念も晴れ前向きに受け取っていただけるのではないかと思います。

そして、ひとたび診療予約システムが稼働し始めると、その利便性の高さから、誰よりも手放したくないとおっしゃっていただけるのが、受付スタッフの皆さまになります。面白いですよね(笑)

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