私はメディカルフォレストの事業を「診療予約2018」の価値を「提供する製品が持つ固有のスペック」ではなく、「企業資産によるもの」だとユーザーに認識してもらえるように育ててゆきたいと考えています。
スマートフォンを例に取るなら、消費者に対して「このスマートフォンは他社に先駆けて最新のCPUを使っているから先進的だ」ではなく「この会社が昔から力を入れている操作性や利便性が素晴らしいから革新的だ、だから好きだ」と感じてファンになってもらう。例えるならそういうことです。
したがって、ユーザーから「こういうことをしたい」という要求事項に対して「機能」を提供するのではなく、運用の改善に結びつく「性能」を提供したいと考えています。極端な話しをすると、「機能」を増やすことでその「性能」が維持できなくなるのであれば、その機能を削ぎ落としてでも「性能」維持にこだわってゆきたいと考えています。
今日はその理由についてお伝えしたいと思います。
事務スタッフは忙しい。
現場は共通して非常に忙しい。ある診療所(1診)を例にとると、9時~14時の午前診療中に約60名の患者が来院し、105本の電話が着信。この状況を2名の受付事務スタッフがオペレーションしていました。
<午前診>
来院受付処理60回
お会計処理60回
電話対応105回 (予約や問い合わせTEL)
合計225回のアクションが発生します。
9時~14時までの5時間=300分
1処理に許される時間=300分÷225回=1.33分/回
∴1処理に使っていい時間はスタッフは2名いますので→1.33×2=2.66分/回
「来院受付処理、会計処理、電話対応」それぞれ1回1人当たりに許される処理時間の平均が上記を超えてしまうと時間内に処理を終えることが出来なくなり 「会計待ち時間」 が長くなってしまうことになります。現場は猛烈な忙しさで、患者からの様々な問いに答えながら、医師・看護師へ必要事項を伝達し、フィードバックがあればメッセンジャーとしても機能し、カルテの管理、整理、データエントリー、会計処理、予約電話対応、次回予約対応、調剤薬局からの問い合わせ、これら全てを同時並列に扱っているのが小規模診療所の医事業務を担う人たちの姿です。
この状況を目の当たりにしたときは、驚きました。これでは、会計待ち時間は増えますし、院内が混みあうのも当然です。そして電話の本数も多すぎます。
最も一般的な解決策は、「雇用人数を増やす」 ことです。しかし、事務スタッフを一人雇用することで相応のコストが生じますし、増やしても処理能力が高まるとは限りません。上記の診療所の例では、1名増やしても、合計3名の事務スタッフを受付に配置できるだけの広さが必要ですし、紙の予約台帳は1つしかありません。人を増やしてマルチに稼働させたくても、その処理をするための環境と道具が足りなければ、処理の効率化は達成できません。
ボトルネック「予約電話対応」これをどう減らすか?
では、どうしたらいいのでしょうか。私が着目したのは予約電話対応です。電話は着信すると必ず出なければなりませんし、通話中はその事につきっきりになり内容によっては通話時間も長くなります。そして電話対応中そのスタッフの事務業務は完全に止まります。
一方、その他の事務業務は、並行作業により臨機応変に動くことが可能ですが電話に限ってはそうはゆきません。つまり、この電話対応が業務遅延を発生させるボトルネックになります。この問題を解決する方法は「予約システムをIT化し、インターネット経由で患者自ら予約できるシステムの構築」に限られます。
ネット予約の利用率は50%を超える。
診療予約システムの導入により電話の本数は確実に減ります。さらに、画面数を増やせば同時に複数人数で予約オペレーションができるようになり、1枚の予約台帳を取り合う必要が無くなり効率的です。
先ほどの診療所では、「診療予約システム」を導入したことで着信数はなんと約30%も減りました。その結果、人を増やすことなく2名体制のまま業務を続けることができるようになりました。
難しいソフトウエアはNG?
【共通の問題】
はい「難しい」はNGです。これは断言します。せっかく「診療予約」システムソフトウエアを導入しても、操作が難しく手順が多いと、軽減されたボトルネックとの相殺で ”あまり効果が無かった” ということになってしまいます。また、「運用が変わる」ことに強い抵抗を示す事務スタッフも多く、その精神的ハードルを下げる目的でも、とにかく「カンタン」操作であることが重要です。
【導入前の問題】
さらに、設定が複雑でわかりにくい場合、「いままでの紙の予約運用を、システム運用に置き換える作業が複雑で難しくなり」 導入前に「自分たちだけで設定することは不可能」な状態に陥ります。結局、高額な「システム導入初期費用を支払って」人に助けてもらわなければ運用開始できないという事になってしまいます。
【導入後の問題】
そうやって、数々の困難を乗り越えて運用が始まったシステムも、時間の経過と共に医療機関側の都合で「システムの運用方法を変更したい」という要求が必ず発生します。しかし ”希望の運用変更に対応しているか” どうか判断できず(仮に出来ることを知っていたとしても)”設定変更の方法が複雑” なため、結局サポート費用を支払って設定に来てもらう必要が出てきてしまいます。これが、従来のソフトウエアが持つ導入後の問題でした。
わかり易さと機動力に欠けるのです。
そういった諸々の問題をできるだけ解消したい。
私は「わかりやすさ」も性能の一部だと思うのです。
良いソフトは簡単でわかり易い
診療予約2009をリリースした翌年、従来のPCインストール型アプリケーションの時代は終わり、クラウド型のアプリケーションサービスが主流になることを私たちは確信していました。すぐさま、次のメジャーバージョンアップに向け次期バージョンの検討部会を社内に立ち上げ、何を以て革新的なアプリケーションとするか構想に約1年かけました。
「ゼロから作り直す」
熱心に助言を与えて下さる医療機関の皆様とともに実験室を立ち上げ、これまで積み上げてきた知を結集し、ゼロから創り上げたのが弊社の診療予約シリーズです。
予約とは本来シンプルなものです。「診療予約2018」はその感覚を持ったままシステムを使いこなして頂けると思います。簡単操作・簡単設定だからこそあらゆるボトルネックを解消できると確信しています。
シリーズ最新版の「診療予約2018」は、オンライン販売を実現し、60日間無料とすることで、利用前に十分検討していただけます。一人でも多くの方にこのソフトの良さを体験していただき、安心して利用を開始していただきたいと思います。そして、皆様から頂く貴重な意見をもとに、今よりも、もっと素晴らしいものに進化させてゆきたいと思います。
この場を借りて開発にご協力頂き、貴重なご意見をくださった医療機関の皆様に厚く御礼申し上げます。
株式会社メディカルフォレスト
代表取締役 森川崇行
キーワード:診療予約システム,病院,クリニック,開発理念