本日、診療予約シリーズの最新版 『診療予約2013』 リリース致しました。
『診療予約2009』『診療予約2011』に続き、3世代目を迎えることができました。
これもひとえに、各方面で支えてくださったユーザーの皆様、関係する全ての方々からのご指導ご鞭撻の賜物と感謝しております。この場を借りて御礼申し上げます。
思いかえせば6年前、ある医師と話していたときに 「医療機関で予約システムが稼働すれば、待合い室で繰り広げられるあらゆる問題点を解決できるのに、なぜやらないんだ」 と盛んに仰っておられていたことがありました。
そう、「なぜ、すぐしないのか」と私も思いました。当時、人材系の会社で地域振興事業に携わっていた私は、理美容事業所向けに予約システムを提供している会社の営業支援をさせていただいていたこともあり「予約システムの有用性」はとても理解できました。患者の立場になって考えてみれば、診療予約システムの存在は本当に有りがたいものですし、医療機関の立場で考えても効率化という面で縁の下の力持ちとして大活躍してくれるからです。
そういった背景があって、5年前に「診療予約2009」をはじめてリリースし、ひとつでも多くの医療機関にお使い頂けるよう奮闘してきました。
しかし、多くの医師から「費用に見合う内容なのか?」「紙とエンピツの予約運用をデジタルに置き換えるることが果たして可能なのか?本当に使えるの??」というご意見を多数頂き、実績の無い私たちはとても苦労したことを思い出します。今でこそ、診療予約システムが導入されているクリニックでは、毎日半数以上の患者がネット予約することが証明されたシステムにまで成長しましたが、事業開始直後は想いだけで営業していましたので結構大変でした。
それでも当時、「患者は待ち時間に対して不満がある」ことだけは、はっきりわかっていましたし、導入されれば多くの人によろこばれると確信していたので、なんとかしたいという想いが本当に強かった。
ここに面白いデータがあるのですが、厚生労働省が発表した平成23年の「受療行動調査」のなかで医療機関に対する「満足度」の項目では、外来患者の約50%が全体的に満足しており、理由を項目別でみていくと、49.7%の人が「医師以外のスタッフの対応」が良かったと挙げています。
患者にとってホスピタリティが、かなり重要な部分を占めていることがわかります。
一方で、診察待ち時間に関しては全体の25.5%が不満という結果でした。
1.満足している患者の約半数は スタッフの対面接遇が理由で満足している
2.患者は医療にホスピタリティを求める傾向にあり そのためにはスタッフに余裕が求められる
3.不満足のうち25%は「待ち時間が長い」ことを理由に挙げている
4.待ち時間が長いクリニックはスタッフに余裕が無くホスピタリティの低下につながっている可能性が高くなる
私は医療機関の質を「環境の質+対面接遇の質+医療行為の質」の和で捉えています。
人が殺到し、診療待ち時間が異常に長ければ
1.院内感染リスクが高まり「環境の質が低下」
2.患者対応に追われ「対面接遇の質が低下」
3.混雑を解消しようと早く患者を処理せざるを得ず「医療行為の質が低下」
・・・というトリプルパンチにみまわれ負のスパイラルに陥ります。ただでさえ理由があって通院しているわけですから、その場に長時間居続けることは精神的にも苦痛となります。
しかし、診療予約システムが導入されると世界は一変します。
受付順番制の医療機関の場合、患者は自宅から来院受付し、診察開始予定時刻を携帯電話でリアルタイムに知ることが出来るようになるので、直前まで行く必要がなくなります。時間予約制では予約電話の本数が激減し、患者は自分の予約時間にただ行けば良くなります。たったこれだけのことでボトルネックが解消されて「質」が大幅に向上するきっかけに成り得るのです。
しかし、残念なことに全国の診療予約システムの導入率はまだまだ少いというのが実情です。その理由は冒頭でもお話ししましたが、既存の組織に新しいシステムを導入するコスト(お金・労力)をかけたくないからなのだと思います。
でもそれは、単に良いソフトとサービスを生み出していなかったからであって、自分たちソフトウエア会社の努力が足りなかったからなんです。
そこで考え、リリースさせていただいたのが、前バージョンの「診療予約2011」でした。
このソフトの開発にあたっては、導入上の労力や混乱といった導入障壁といっても過言ではないこれらの問題を解決する、業界ではおそらく初めて「訪問による導入作業が不要」である唯一のソフトウエアを目指し、これを実現しました。
。。。ですが、甘かった。
利用してくださった医療機関からはご好評を頂いたのですが、普及速度が伸びないのです。
そうです。院長はものすごく忙しく、仮に営業機会を得たとしても、導入判断に至るまでが本当に大変で、意思決定までのプロセスに、互いに「てまひま」がかかり、思ったほどのスピードを得られなかったのです。
そういうわけで、「診療予約2011」は「医療機関が自ら導入できる仕組みを構築する」ことには成功しましたが「医療機関が自ら導入判断できる仕組みを実現する製品」では無かったのです。
「診療予約2013」ではこの問題を解決することで供給量を増やしていきたいと思います。インターネットの活用により、高い価格競争力と24時間いつでもオンラインで申込みできるユーザビリティを両立させ、60日間の無償利用期間を設けることで「体験し、理解し、納得して」ご契約いただく透明性をもって「診療予約2013」を広めてゆきたいと思います。そしてそのように増えていく医療機関への新しいサービスが、より良いものであリ続けられるように、私たちは確認と是正を繰り返し、より多くの医療機関で使っていただけるようにノウハウをオープンにし、診療予約システムを育ててゆきたいと思います。
平成25年4月10日
株式会社メディカルフォレスト
代表取締役 森川崇行