こんにちは、メディカルフォレストの森川です。
先日、他社さんのシステムをご利用中のあるクリニックさんから、こんな切実なご相談をいただきました。
「診療予約システムを導入したのに、待ち時間があまり減らないんです」

詳しくお話を伺いながら、実際の予約表や日々の運用状況を一緒に確認していくと、「時間帯予約制」を導入しているクリニックが陥りがちな、いくつかの共通原因が見えてきました。
今日は、そのときのお話を少しご紹介したいと思います。
目次
診療予約システム自体には、大きな問題はありませんでした
まず最初に確認したのは、「システムそのものに不具合があるのか」という点です。結論から言うと、動作や機能面には全く問題はありませんでした。

実は、この手のご相談の多くは、システムそのものではなく、クリニックの実態と「設定・運用」のミスマッチに原因があります。
実際の予約表を見てみると……
予約表を一見すると、きれいに枠が並んでいるように見えました。
しかし、詳細を確認すると、その時間帯に物理的に対応できる人数よりも、多めに予約が入っている状態でした。
- 例1:診療内容によるズレ(初診・再診の比率)
30分間6枠中、初診が3枠、再診が3枠。初診対応は再診より時間がかかるため、想定時間を大幅にオーバー。 - 例2:予約外(直接来院)の割り込み対応
予約外の患者さんを、その都度、隙間に入れて「枠外対応」をしていた。
現場としては、「患者さんをお断りするのは申し訳ない」という善意の判断だったと思います。

少しずつ積み重なる「数分」のズレが混雑を生む
1人あたり数分の遅れでも、それが積み重なると、いつの間にか30分、60分という大きな待ち時間になっていきます。特に診療効率化を目指して導入したはずが、逆に現場を圧迫してしまうケースも少なくありません。
結果として、
「予約しているのに待たされる」
という印象を患者さんに与えてしまい、クリニックへの信頼低下を招きます。
患者さんの行動も変わっていきます
こうした状態が続くと、患者さんの行動にも悪影響が現れます。
- 予約しなくても同じくらい待つのでは?(予約離れ)
- どうせ遅れるなら、少し遅れて行こう(遅刻の増加)
- 早く行けば、早く呼ばれるかもしれない(早着による待合室の混雑)
こうした行動が重なり、院内の混雑はさらに激化するという悪循環に陥ります。
本当の原因は、予約システムの運用方法が「キャパシティ」超えを誘引していたこと
今回のケースで一番の問題は、クリニックの限界以上の予約と対応をしていたことでした。
決して運用が雑だったわけではありません。むしろ「患者さんのために」というスタッフ様の懸命な対応が、全体の進行を遅らせていたのです。
一部、受診目的ごとの所要時間を考慮したキャパシティの設計も見直す必要がありました。

設定を整理すると、院内の流れは劇的に変わります
このお客様は最終的に「診療予約2025」をご採用いただきました。そこで私たちは、システムの設定だけでなく、以下の運用ルールを徹底的に整理しました。
- 診療キャパシティの再算出: 無理のない適正な予約枠数へ調整
- 所要時間の最適化: 診療内容(初診・再診・処置など)に応じた枠構成
- 予約外対応ルールの確立: 急患や直接来院への対応マニュアル作成
すると、少しずつですが、院内の流れが落ち着き、スタッフの皆様の表情にも余裕が戻ってきました。


診療予約システムの成否は「設計と運用」で決まる
診療予約システムは、導入しただけで全てを解決してくれる魔法の道具ではありません。
しかし、クリニックの実態に合わせて正しく「設計」し直すことで、驚くほどスムーズに機能し始めます。
「予約システムを入れたのに、うまくいかない」「混雑が解消されない」
そんなときは、システムを疑う前に、一度今の運用を整理してみてください。
私たちメディカルフォレストも、その整理(設定のコンサルティング)を全力でお手伝いさせていただきます。まずは一度、お気軽にご相談ください!