高齢者が多いクリニックにネット予約システムは意味が無いですか?
という質問を良く頂きますので、今日から何回かに分けてこの点について書きたいと思います。まずは<時間予約制のクリニック向け考察>から始めます。
この問題を議論するうえで、
まずおさえておくべきは、年代別のネット利用率についてです。
下記データが参考になります。
外部ブログへのリンク:総務省:平成 23 年通信利用動向調査
■考察材料①
H23年の総務省のデータでは高齢者のネット利用率は下記の通りです。
49歳未満 約95%(12歳未満の子供を除く)
50歳~59歳 86.1%
60歳~64歳 73.9%
65歳~69歳 60.9%
70歳~79歳 42.6%
80歳以上 14.3%
60歳以上のネット利用率は結構高い。70代は準ネット世代と言え、80代以上はネット世代ではないことがわかります。
■考察材料②
来院患者のうち何割が60歳以上か?
50%が60歳以上。。ということは残りの50%がネット利用率90%を超えます!
100%が60歳以上。。ということは最大73.9%がネットを利用しています!
■考察材料③
70代、80代は ネット世代から除外して考える。
69歳までを『高齢者』と定義して利用対象者と想定した場合、患者さんのネット利用率はどうなるか?
患者の50%が60~69歳のとき、平均すると約80%の患者さんがネット利用者。
患者の100%が60~69歳のとき、平均すると約67%の患者さんがネット利用者。
■考察材料④
ネット予約が導入されると、高齢者が差別されて不利となるか?
いいえ、ご安心を、意外にも利用率は高く問題ありません。従来の電話予約、従来の次回予約に、新たな予約の手段としてネット予約が提供されるだけのことですので、高齢者の方はこれまで通りの予約方法で予約可能です。(ネット予約で従来の予約枠が全て埋まってしまい、高齢者の予約余地が無くなってしまう懸念は、ネット公開枠を制限することで回避可能)
■結論
ネット予約システムの導入価値は十分ある。
患者のうち高齢者が占める割合が50%程度のクリニックの場合、全体平均で約80%の患者がネット利用層となるため、導入価値は十分ある。
患者のうち高齢者が占める割合が100%のクリニックの場合でも、約67%の患者がネット利用層となるため、導入価値は十分ある。
70歳以降の患者さんは、従来通りの電話予約でご案内していただければOKです。
■導入効果
・電話の本数が減り、業務効率化につながる
・無断キャンセル(連絡なし)が減る
・24時間予約応対可能となり、稼働率が上がる
以上のとおりです。
診療予約システムは、導入されることであらゆる人に価値をもたらしてくれます。
次回は、順番待ち制の場合で考察したいと思います。
<ネット予約≠メール予約>
ネット予約システムは、予約確定まで患者さんの携帯電話で操作可能なため、メール予約とは区別されます。数年前まで存在していた初期の予約システムでは、予約申し込みフォームに入力し、そのリクエスト通り予約OKかどうかの返事をメールで受け取る予約システムでしたが、これとは区別されます。
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